2015年07月01日

加賀百万石

6月中旬に出張で北陸へ。ちょうど田植えが終わりつつある時期だったようで、広々とした美しい田園風景を車窓から楽しむことができた。「加賀百万石」に「いつわりなし」の感。幸福度ランキングで常にトップにくる北陸3県は、自然と人の営みがうまく調和した暮らしやすい土地柄のようです。

北陸新幹線開通の影響か、平日なのに観光客らしいグループが金沢駅周辺のあちらこちらに。そんな観光ブームに沸く北陸で耳にした興味深い話。富山のある食品メーカーの社長いわく、「観光に頼らざるを得ないということは、自力で食べていけるだけの地力がない証拠」。

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*北陸新幹線・金沢駅でひときわ目を引く、豪華絢爛な巨大達磨の「後姿」

現代にも脈々と受け継がれている「加賀百万石」の威光は、単に耕作地に恵まれただけに起因するのではなく、豪雪など厳しい自然と正面から向き合って生きてきた北陸の人々の、地道な努力の賜物のようだ。

訪日外国人急増による特需に沸く日本って、大丈夫?!

2015年03月09日

デザインがより身近な存在に

「社長、そのデザインでは売れません!」というタイトルの書籍。デザイン関係の本では珍しく日経ビジネスにも広告掲載。「これからの時代、デザイン戦略は経営上の重要なテーマですよ!」と言っているこの本を、皆様はどうお読みになるでしょうか。
いまでこそデザイン関係の本をよく読む私ですが、会社員時代はデザインとは無縁の世界にいた。どんなキッカケで、私がデザインに関心を持つようになったか、エピソードをひとつ。

“米国製の新商品を四国のある量販店に売り込んだ折、バイヤーから店頭ディスプレイの提案を求められた私は、ハタと困った。バブル期の「置けば売れた時代」、デザインという言葉すら聞いた憶えがない。  自力ではいかんともしがたく、ある広告会社に相談したのだが、デザイナーが考案してきたディスプレイに、思わず首をかしげた。
「商いを知っているオレの方が、まだマシなアイディアが出せる」と思っている自分がそこにいた。”

あれから幾年月、商業広告制作をまさか自分が本業にしていようとは…。
IT技術の革新と共に、デザインは私たちの「より身近な存在」になってきた感があります。皆様と力を合わせていけば「これからもっと面白い仕事ができそうだ」と、スタッフと話している今日この頃です。

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2015年01月06日

2014年 印象に残ったコピー

横綱:「我行精進 忍終不悔」(往く道は精進にして、忍びて終わり、悔いなし)酒井 雄哉
大関:「この道しかない」安倍 晋三
関脇:「COOL JAPAN」
小結:「日本のお父さんに恩返しできた」白鵬 翔
前頭:「私はやっと議員になれたんです」野々村 竜太郎

2015年の幕開けを、皆様いかにお迎えでしょうか。
「大儀のない?! 衆議院議員選挙」の結果を受けて、「アベノミクスの信任が得られた」と与党は声高に宣言していましたが、いささかの違和感を持って聞いた人も多かったのではないでしょうか。

さて、変貌を続けるネット情報社会ですが、一方で「長年築いてきたものを瞬時に失う怖さ」が年々増しているように感じます。フェイスブックでつながる若者達によって、北アフリカ諸国が瞬く間に転覆に追い込まれたことは、記憶にまだ新しいところ。大手企業といえども、ネット上の情報対応を誤ると大きな痛手をこうむることが、日本マクドナルドの例を見るまでもなく容易に想像できる。
情報を「おまとめサイト」に頼り、新聞を読まない若者が増えているとか。さて皆様は、これからのネット情報社会をいかに生きていかれますか? 羊の年、平和な一年でありますように。

2014年11月11日

石巻を訪ねて

この10月、2泊3日で東北へ出張。仕事明けの日がちょうど日曜日に当たったので、仙台市から三陸海岸の石巻市まで足を延ばしてみた。先の大震災の折、TVのニュースで見た石巻の津波の映像がいまでも脳裏に焼き付いている。復興の実態はどうか、気になっていた。

仙台から石巻への鉄道は寸断されたままなので、移動はバス。その石巻行きのバスで、たまたま復興ボランティアの大学生数人のグループと乗り合わせた。4年生ながら卒論やバイトの合間を縫って、今でも石巻へボランティアとして出向いているとのこと。巷では、「就活に有利だからボランティア活動を体験しておこう」などという不届き者の話を耳にする。仙台の学生たちは、そんなこととは関係ない奉仕の精神で活動している。尊敬に値する若者たちだ。

石巻港などを中心に市内を4~5時間歩いてみた。被害にあったまま放置された住居を散見するものの、新たな水産市場が建設中だったりして復興の力強い足音も感じられた。とはいえ、震災後に人の流出で中心街でも空き店舗が増えている様子。ささやかではあるが、復興商店街でできるだけの飲食と買い物をさせてもらった。

フレフレ石巻! フレフレ東北!

2014年09月11日

安心して観てもらえる広告

ネット上の動画広告におけるグラフィックデザインのあり方を勉強する企業内研修で、講師を担当させていただいた時の話。若いデザイナーの方のご発言。
「ライバル企業に、広告のクオリティでかなり差をつけられていて、焦っています」。
どんなデザインが動画広告に有効なのか、悪戦苦斗の毎日とのこと。

通常、商いにはライバルがいて、比較の中で顧客は商品やサービスを選ぶ。その際、他より目を引く広告は確かに購買動機につながるキーではあるが、単にライバルより目立ったから買ってもらえた、という表面的な見方に終始していていいものか。

企業イメージやブランドイメージの育成・保護の視点は、どんな企業でも重要だ。会社が醸し出したい企業イメージを、商品ベースの動画広告がぶち壊している例をよく見かける。
先のご発言の方には、「御社の社風やカラーを踏まえた、堂々とした動画作りを!」、「ライバルの広告に、ストレートに対抗するような表現は避けるべき」、「ライバルとの比較ではなく、お客様に安心して観ていただける自社独自の広告センスを、常に念頭に…」といったことを助言させていただいた。

ネット上の動画広告の歴史は浅く、海外ものも含め粗悪なものが目立ちます。質の良い日本製の動画広告が増えてほしいものです。

2014年07月11日

五感を総動員した仕事

視、聴、味、臭、触。この5つの感覚を人間の基本五感と称します。有名なメラビアンの法則では、話し相手から感じ取る情報は、言語情報から7%、聴覚情報から38%、視覚情報からが55%、となっています。
目から入る情報にいかに人は影響を受けやすいか、という話ですが、近年はネットからの視覚情報が激増して、従来よりもさらに視覚情報に偏重したコミュニケーションが増えているように思うのですが、皆様はいかがでしょう。

先日、モノクロ時代劇「座頭市と用心棒」を下町の映画館で観たのですが、CG映像に慣れた眼には刺激的でした。勝新太郎や三船敏郎という名優の演技もさることながら、どしゃ降りの雨にずぶぬれになりながら大声を張り上げて格闘している出演者達に、妙に「人間臭さ」を感じて、つい見入ってしまいました。

当時は、雨のシーンは実際に雨が降るのを待って撮影したとか。俳優や監督以下スタッフ全員が、自然に寄り添い、それぞれの五感を総動員して映画作りに勤しんだのでしょう。このような映画の作り方に対し、非効率なアナログ仕事だ、などと今日誰が非難できるでしょうか。

いつの時代も、「人手がかかった、ていねいな仕事」に人は好感するもの。私たちも五感を総動員した「人間臭い仕事」を続けていきたいものです。

2014年05月11日

自主開催セミナーを終えて

去る4月22日に、「わかりやすい! 販促ツールの作り方」春セミナーを開催させていただきました。今回も満員のご参加、誠にありがとうございました。

このセミナーは2007年にスタートして足かけ7年目。請負セミナーとは違い自主開催のため、準備や費用が大変なのですが、春秋に毎年開催してきました。弊社にとってこのセミナーは、広告主の販促ニーズの変化を肌で感じるための大切な機会です。
ITの発達で、売り手が消費者に情報を発信する手立てが増え、またBtoBにおいても大きな利便性がもたらされています。そんなIT環境を活用してシェアアップにつなげているのは、やはり資金と人材のある大手企業のようです。セブン&アイのPB商品開発やマーケティングに見られるように、力のある企業同士がコラボして、2番手以下を引き離しにかかっています。

中小企業や個人事業者は、大手企業とは「違う土俵で相撲を取る」ことを今まで以上に強く自覚しなくてはなりません。その上で、どんな販促をしたら「自分たちのウリを顧客に伝えることができるか」、限られた予算内で知恵を巡らす必要があります。
もはや「販促に無関心」では、商い自体を続けられないシビアな時代です。

セミナー受講の皆様の販促への真摯な姿勢に大いに共感しつつ、これからもできる限りの支援を続けていきたいと思っています。

2014年01月11日

印象深い言葉 2013

職人の中には、“腕さえよければ、客は来る”と思っている人がいるが、それは大きな間違い。技術は経験を積み重なれば習得できるが、マナーやホスピタリティは、きちんと学ばないと、何年経っても身につかない。そこに繁盛する店とそうでない店の違いがある。
金沢うまいもん(回転)寿司チェーン 代表取締役 木下孝治氏

(販売の極意は)“売ろうとせず、商品の価値を伝えること”。 多くの作り手を介してできた商品の、その物作りの最終ランナーが販売員なんだと気づいたんです。そう考えると仕事に誇りを持てるようになりました。
売れる売れる研究所 代表 橋本和恵氏

お客様の目の前に商品を置くだけではなく、それがどういった意図や思いで作られたのか、そしてそれがどのような価値を未来にもたらすのか、ユーザーに伝える努力をしないといけません。“現在”だけでなく、“過去”と“未来”も含めた時間軸の“面”で伝えるのです。
デザイナー 佐藤オオキ氏

消費者が(家庭で)調理しなくなると、スーパーや百貨店で販売するA品が売れなくなる。A品は単価が高くプライスリーダーだったのが売れなくなっている。売れるのは調理済み食品の中食か外食になるから、業者が買うB品・C品ばかりで、それらは当然、単価が安い。したがって農産物価格はもっと下がっていく。
農産物流通コンサルタント 山本謙治氏

売れている商品を買うことで他者とのコミュニケーションに活用する「ネタ消費」が若者を中心に広がっている。品切れすればSNS(交流サイト)によって口コミは以前よりも爆発的に広がる。(2013年の食品・飲料の)品切れ多発にはこうした背景がある。
マーケティングライター 牛窪恵氏

2013年09月11日

デザインの使命

熊本県PRキャラクター「くまモン」の生みの親の一人である水野学氏は、デザインに関連して次のように語っています。「デザインは“良くすること”が持論。」「デザインによってクライアントの売り上げが飛躍的に伸びたり、社会全体が今までよりも劇的に良くなったり、人の気持ちが輝き出したり。それがデザインの使命だと捉えています。」

「劇的に良くするデザイン」は容易に考案できるものでもありません。しかし今日、マーケットでシェアを高めている商品やサービスをよく観察してみると、例外なく「上質なデザインセンス」が感じられます。CVSで急成長中のセブンプレミアムでは、著名なアートディレクター・佐藤可士和氏が全商品のデザインに関与しています。安価な食品でも、デザインが売り上げを左右する重要なファクターとなってきているのを実感します。「くまモン」でキャンペーンをしかける熊本県産の食品も、催事などに引っ張りだこだそうです。

「期待通り売れなかったのは、デザインの責だ」と広告主に詰め寄られる恐れは覚悟の上で、「顧客や社会をハッピーにする(良くする)デザインワーク」に、私たちはこれからも力を注いでいきたいと思っています。

2013年07月11日

デザインとセンス

「自分にはデザインのセンスがないから…」とおっしゃる広告主様がおられます。デザイン系のソフトウェアの普及で、誰でも比較的容易にイメージをカタチにできる時代になりました。「あとはセンスさえあれば、だれでもデザインできる」という話になりそうですが、実際はそう単純ではありません。

そもそも「センスのあるなし」は生まれつきのものでしょうか。私どもは、「センスの良さ」は多くの経験に裏付けられたセオリー(理論)の上に構成されていると考えています。
「どの配色がイメージに合っているか」「どんな書体が適切か」「どんなレイアウトが効果的か」といったことを導く時、セオリーや経験が大きなカギを握るからです。よほどの天才を除き、センスは「セオリーの蓄積」の上に成り立つものではないでしょうか。

皆さんは「ユニクロのロゴマーク」はセンスだけでつくられたと思われますか。あのマークは日本を代表するアートディレクターの一人・佐藤可士和氏によるものですが、彼の著書などひも解くと「センスはセオリーの蓄積の上に成り立つもの」であることがよくわかります。

デザイン系ソフトの発達で、イメージをカタチにするためのテクニックに気を取られ、「セオリーの蓄積」がついおろそかになりがちです。私どもはテクニックを磨く一方で、基本的なセオリーの積み重ねを愚直に続けてまいります。

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